2010年4月28日水曜日
屋根を歩けば
二階建てですか? と、よく聞かれるので困る。内部にロフトはあるが、平屋建てである。農地転用許可申請の際に、口頭だが、念を押されたので小屋は平屋建てですと答えてある。そこで小屋の名前も「ひらやだ亭」にしようと考えたくらいだ。
でも、外から見ると確かに二階建てに見える。屋根までの高さが二階建てほどに高くなったのは、3寸5分角の13尺2寸ものの木材(4メートル材)を目いっぱい使おうとしたからだ。単に貧乏性からだ。そいで、柱が12尺(3.6メートル)になった。屋根に上がったら、高すぎてめっちゃ怖い。しかもガリバリウム鋼板(トタン板の丈夫なやつ)でふいたので、つるつる滑って危険この上ない。設計段階ではふつうの屋根勾配より緩くしたのに、これは計算外だった。
棟木のところ(屋根のとんがり部分)に傘釘を打った後、周辺に釘を打とうとしたら、滑って体のバランスが取れない。棟の三角形にしがみついていないと、するすると滑り落ちてしまう感じだ。釘を打つ順番が違ったのだ。先に棟を打ったのが間違いで、1枚ずつ留めるべきだった。命綱をつけて再度挑んだが、やっぱり怖くてどうにもならなかった。
仕方がないので、梯子を少しずつ横移動して、梯子の上から軒先だけ釘を打って回った。だから、鋼板は棟の部分と軒先以外は釘打ちされていない。強い台風が来たらヤバイのである。人にはあまり言ってないが。
屋根の構造は簡単である。構造材(桁)の上にたる木を打って、コンパネ(ベニヤ板の厚いやつ)を敷き、その上に防水シートを張って、一番上が鋼板である。コンパネと鋼板は結構重いので、斜めにかけた梯子の上を滑らすようにして、上からロープで引きずり上げた。コンパネや防水シートは滑らないから、そこまでの作業は順調だったのだ。
ものの本にも「ガリバリウム鋼板は滑るので、気をつけて」などとは書いてない。
やってみなくちゃ分からないのです。ホント。
それでも、屋根ができた時の喜びは何とも言えないものがあった。屋根をふいた直後に雨が降り出した幸運もあって、それまでテント暮らしだった身には雨をしのげる屋根の下はまさに天国に思えた。「雨の日は仕事になんねえもんな」などといっぱしの大工のようにつぶやきながら、その日は、昼間っから屋根の下で一人でべろべろに酔っ払ったのであります。
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